期間限定恋人ごっこ【完】番外編


優しくて理想の彼氏?



全然違う。意地悪で、Sっ気で、強引だし、元不良だし、ルールは破るし、謎だし。



全然理想の彼氏どころか理想の彼がほど遠いほど、真逆の性格。



次々と毒を吐く私を見てだんだん曇っていく誠人の表情。



「沙夜、」

『あのさ』



何かを言いかけた誠人の言葉をワザと遮る。

その先にある言葉を聞きたくない気がした。



聞いてしまったら全てが終わってしまうような気がしてならなかった。




『明日、どうすんの』

「え…あぁ、出かけようと思う」

『そう。じゃあ詳しいことはラインして』



氷以上に冷たい言葉に冷たい態度。

こんなことを言いたいはずじゃ…こんな態度とりたいはずじゃないのに、とってしまう。



名倉のことは終わったのに。

名倉との決着は誠人がつけてくれたのに。



『ありがとう…』



聞こえるか聞こえないかの小さな、消えそうな声くらいでお礼を言って彼の前から私は去った。




「____…」




後方で何か聞こえた気がした。

何か言われた気がした。



けど実際、ちゃんと聞こえてはなくて彼が何を言ったかなんて分からない。




『…っうぅ』




勝手に涙が零れる。

何で流れてくるかも分からない。

私の心は何を思って涙を流しているの。



私は____誰の為に泣いているの。



行きかう人々がボロボロ泣いている私を見ては、好奇な目で見て逸らしていく。



嗚咽も涙も止まらなくて。拭っても拭っても流れ出る涙、嗚咽を止めようと呼吸をしても余計に苦しくなってしまい止まらない。



家に着くまでには何とか涙も止めて呼吸も整えた。



目は赤いだろう、何とかお母さんにバレないようにしないといけない。

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