期間限定恋人ごっこ【完】番外編
『ただいま』
なるべく明るい声でそう言って家の中に入ると、お母さんはテレビを見ていた。
顔を見せずに部屋へ行き、着替えを取るとすぐ風呂場に向かった。
そして流れるシャワーの音で何も聞こえないように。
『……っ』
何故かまた涙が出てきたから。
何とか涙を止めて風呂から上がるとさっきよりはスッキリしていた。
風呂から上がった私にお母さんが「ご飯は?」と声を掛けてきてなるべく声が震えないように「いい。食べてきたから」と嘘をついて部屋へと向かう。
「もう寝るの?」
『うん。今日は早寝早起きしようと思って』
「え…?明日、槍振ってこないよね?」
と天気の心配をしてる母。
私が早寝早起きすると超常現象が起こるみたいな言い方止めてほしい。
槍なんて振ってこないから、と言うと「じゃあ火の玉?」と返してこられてさすがに困った。
それに返す言葉はもうなくて呆れたため溜め息を零して「おやすみ」と言うと「おやすみー」と陽気な声で返ってきた。
今日布団に入って考えること…それはやっぱり誠人のこと。
誠人と付き合ってここ6日間寝る前は必ず誠人のことを考えて、思ってばっかりな気がする。
ピコン…_____
眠りに落ちる前に入ったライン。
見ずとも分かる、彼からのものだって。
開けてみると私が言った通り最後のデートのことで、明日は映画に行こうと書かれてた。
『映画ね。てか何見る予定なのよ』
明日が最後、明日で1週間。
誠人との付き合いも時計の針があと2周ほどすればきっぱり終わる。
誠人は理想の彼氏じゃなかったし、夢なんて全然見せてくれなかったし。
何かと酷かったし…。
でもそれを解決に導いてくれたのも誠人で…少なからず過去の沼にハマったままだった私を引っ張り出してくれた。