期間限定恋人ごっこ【完】番外編


優しくなんてなかったけど、それはそれでよかった。


私だけに見せてくれた素。


条件を破ったはずなのにそれを許してた額へのキス。

それが嫌じゃないと思ってた。



そのキスの意味を考えていつも眠りにつく私がいた。



心の中にある気持ちに気がづかないようにした。

気づきたいと思う私と気づきたくないと思う私がいた。



けど、もう気づきたくないなんて言ってられない。



だって、別れたくないと思ってる私がいる。

この関係を切りたくないと思ってしまってる。



だって私は…



『…誠人』



誠人のことが…



『好きっ…』



いつの間にか好きになっていた。

誠人…嫌だよ。別れたくない。

私って、こんな面倒な女だったんだ。



『言わないで…』



別れようなんて言わないで。



『…っ、怖い』



゛別れよう゛その一言がこんなにも怖いものだなんて。


もう条件なんていらない…条件なんてどうでもいい。



『もう条件なんてどうでもいいから…私を見て、私を傍にいさせて』




願うように小さく呟いた。

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