期間限定恋人ごっこ【完】番外編
『それは、まだ…』
電話で言おうかとも思ったけど絶対長く怒られそうだったからあえて言わなかった。
それに年下に怒られる私って…。
「じゃあお昼に報告ね」
『そのつもり』
報告するのやだなぇ…昨日ナンパしてきた男と兄妹になりました、なんて言いたくない。
それに私はアイツが兄だなんてまだ思ってない。
認めたくないもの。
「席つけーい」
「じゃ、お昼ね」
『うん』
教科担任が教室に入ってきてそう言ったためユカは私の方に向けていた体を前に向き直した。
この先生は学校一怖い先生と言われてる人だからおしゃべりなんてできるはずもなく、私語さえも厳しく怒ってくる人。
ほぼ寝てしまっている私でさえ、この先生の授業だけはしっかりと起きて受けている。
通知表で1は付けられたくないし。
「前回の続き、56ページ開け」
と言われた通り教科書56ページを開いた。
______________…
「へぇ~あの男がね」
『あっはっは…世の中って狭いね~』
笑って誤魔化そうとするけど、
「狭すぎんだろ!つーか一緒に住むな!」
誠人が笑顔1つで誤魔化せれるはずもなく、私はお昼時間、中庭で怒られています。
ユカの前で公開説教中という何とも恥ずかしい限り。
『一緒に住むなとか無理な話なんだけど!?』
「あ?」
『私の話聞いてた?もう家族だしお家だって建てちゃってんの!』
一通り報告はしたはずなのに、誠人は無茶苦茶なことを言ってくる。
無理なものは無理だから諦めなさいって。
あ、そうか。
『じゃあ家に来てよ』
「あぁ行ってやる」
「じゃあ私も~」
と誠人に便乗したユカには「今度ね」と言って我慢してもらった。
若干拗ねているけどあの子は千也に会ってみたいだけだ。
_____キーンコーンカーンコーン。
そこでお昼終了の鐘が鳴り、私たちは中庭を後にした。
早く帰りたいなー。
帰りたい病は辛いよ。
あ、でもアイツがいる家に帰るのはちょっと…荷物取りたいしマンションに帰ろう。