期間限定恋人ごっこ【完】番外編


私が黙って付いて行くと、連れられてきたのは1学年の校舎。


まさかでしょ?と思った。
けど、やっぱりそのまさかで。




「北条いる?」




彼に言うつもりらしい。


別に言いたくないって訳じゃないけど、いちいち言うほどのものなのかと思ってしまう。


けど、これは私がそう思ってるだけでユカからしたら大変なことらしい。



他の子も本来ならそうなのかもしれない。

朝学校来たら黒板に大きく酷く汚らしい言葉を書かれて、机の上には菊の花が置かれこの子は亡き者ってことにされて、精神的ダメージを大いに受けるかもしれない。



けど私はそれを幼稚だと言い、菊の花をありがとうと思い、精神的に少し違う…いや、おかしいのかもしれないと思う。


あそこは少しでも傷ついてますって顔をすればよかったのかと思ったけど、それは違う…そんな顔をすれば調子に乗せてしまってエスカレートするんだと思う。



いや、違うか私があぁ言ってしまったことで今まで以上に事態は悪化してしまうのかもしれない。



それなら明日は黒板に汚い言葉や、机の上に菊の花とかそんなんじゃ許されない気がする。


そんなことを考えると気分は憂鬱になり、今から疲れてしまう。




「何スか?」




ユカに呼ばれてた誠人は、1学年まで来て何か訊きたいことがあるのか?と言うような顔をしている。


私は特別ないんだけどユカが大有りらしい。




「お昼3人で食べよう」




そう言ったユカの顔は真剣そのもので、何かを悟ったらしい誠人は「あぁ」と頷いて一度弁当を取りに席に行くと、私たち3人は屋上へと向かった。

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