姉のカレシの、闇に溺れて


 『ちょっと樹ー!!』と叫ぶ姉を放ったらかしにして、「ほらほら」と、南瀬くんに連れられるまま、私と悠一さんは家の外まで出てきてしまった。


 外に出ると、


 「南瀬くん、ごめん、ありがとう」


 お礼を口にする悠一さんと一緒に、私も『ありがとう』と、お礼を口にする。


 南瀬くんがいなきゃ、どうなってたか分からない。南瀬くんは本当に私を守ってくれた。感謝してもしきれない。


「月野を泣かせたら俺が奪いに行く。今度は絶対容赦しないから、奪われたくなかったら死ぬ気で大事にしろよ」


「うん、絶対大切にする」


「あと、月野。後でお姉さんの番号LINEして」


 『さすがに電話くらいしてあげなきゃ、月野の姉ちゃん何仕出かすか分からないから』と、南瀬くんは姉の何かを思い出したように小さく肩を震わせた。


「でも、勘違いしないで。俺今結構楽しんでるから。お姉さんのこと結構好きだよ。あっ、人間としてだけど」


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