姉のカレシの、闇に溺れて
今にもぶっ倒れてしまいそうな月野は、そのまま俺と橘の元へ近寄ってきた。
そして、『南瀬くんコレ、ありがとう』と、俺のジャケットを差し出してきた。
「ああ、うん……」
とりあえず受け取るが、俺達を見る橘の視線が熱い。
「紗和具合悪そうだし……南瀬は風邪引いてるし、それにそのジャケ……………え? アンタらそういう関係??」
「いや、どういう関係……」
「だから!! 紗和の体、知ってる関係!!?」
アホか!! 知らねぇよ!!
ちらっと月野を見ると、何を思ったのか、恥ずかしそうに俯いていた。
「え、ちょっと!? 本当に本気でそういう関係!?」
やかましい橘の口を両手で塞ぐ。
「違う!!月野のカレシは俺じゃないし、月野には年上のカレシがいるし! つーか、俺具合悪いし!! 月野、保健室行こ!!」
口うるさい橘を置いて、月野の腕を引き教室を出る。そしてトボトボと、廊下を歩く。
「…………あの、南瀬くん具合悪そうだけど大丈夫?」
「俺はただの風邪だから。月野は?? 昨日ユウイチさんと一緒だったんでしょ?」
「…………………私は、その、えっと。昨日寝てないだけだから………」