姉のカレシの、闇に溺れて



「そっか。紗和にはまだ早い話だったよね。急にゴメンね」


 以前南瀬くんに姉と悠一さんの相談事を持ちかけたことがある。


 今回の内容はそれにとてもよく似ていた。


 "月野の姉ちゃんとカレシの問題だから。月野が気にすることないよ。だって、そんなこと相談されてもどうしようもできないじゃん"



 多分、今相談しても南瀬くんから返ってくる答えは一緒だ。


 いざ相談されるとどうしようもできないけど、どうにかしたいと思ってしまう。



 数分前までは『別れてほしい』と思っていたのに、姉が心配でたまらない。



「…………友梨ちゃんの相談も時々聞くから大丈夫だよ。早くないよ」



「そっか。そうだね。紗和ももう高校生だもんね。……………ユウくんね、抱いてくれる時全然気持ちよさそうじゃないんだ。冷めてるっていうか、最初から最後までずっと目が冷たいんだ………」


< 86 / 271 >

この作品をシェア

pagetop