姉のカレシの、闇に溺れて



 『トイレ入ろう』と、本当にトイレの中まで着いてきた。


 見られながらできるワケないじゃん…………


 検査薬の袋を開ける悠一さん。説明書を読み出してしまった。今更"出ていって"なんて言った所で聞いてくれない。


 それ所か『ズボン下げるよ』と、勝手に私のズボンを下げる。


「――――もうイイ!! 後は自分で……」



 『他の男に抱かれた』『避妊はシていない』こう言ってしまえば、この人は見放すんだとばかり思っていた。


 だけど………………


 結局悠一さんの前で使い、『じゃ、ソレ貸して』と言う悠一さんに渡すと平行になるよう、検査薬をトイレの窓ふちに置いた。



「紗和、もしデきてたらどうする?」


 "どうする?"って、もしデきてたら産む覚悟はない。


 ましてや、悠一さんとの子だ。産めるワケない。


 答えずにいる私に、悠一さんは優しく笑いかけた。そして、


「………結婚、しよっか」


 あり得ないことを言い放った。


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