廓の華
「悪いけど身請けをするつもりはないよ。そもそも、俺が遊郭で落としている金は所持金じゃない。報酬として渡された、ただの資金だ」
「報酬?」
「簡単に意中の女を譲る前に、俺が牡丹に相応しい男か見定めてごらんよ」
その返答は思いがけないものだったらしい。
少し考え込んだ後、彼は眉を寄せて低く尋ねた。
「相応しくないと判断したら、どうするんですか」
なかなか核心をつく問いをする。
俺はいつものように穏やかに笑って告げた。
「その腰の刀はお飾りか?」
言葉の意味を察したようだ。
ひどく驚いて目を見開いた彼は、戸惑っていた。
ここまでけしかけて、どうなるかはこの男次第だ。俺のやることも生き方も変わらない。
ただ、あの子の前でだけは、最後まで優しい人のままでいたかった。