王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。
 なんてこった。
 オー・マイ、ガ――ッ!
 ガイコツマンがいたら拍手をくれそうなバイリンガル。
 町田が死んだ。
 …ってか。最悪でも[気を失った]でやめてくれゴッド様。

「おい!」
 薄暗い廊下にへたっている黒い物体に、おそるおそる呼びかけてみる。
「…………」
 返事しろって、おい!
 がまんしきれずタタタッと走りよって。
 ジ――ザス!
 床に飛び散っているこの赤いのは、もしや[血]ってやつじゃないのか、おい!
 パニくっても冷静。
 地球最後の日でも生き残れそう。
 ほんのさっき思った自分像がガラガラとくずれていく。
「町田!」
 町田町田町田。
 返事しろって、おい!

 パニくるおれのSOSはジーザスに届いたらしい。
「ごめ…なさ……」
 考えてみなくても、最初からおれには謝りっばなしの男の口が、まず吐き出したのがまた謝罪の言葉ってあたり実にビミョ~。
 悪いやつじゃなさそうだけどなぁ。
「町田っ」「王女…さま……」
「…………」
 性能が悪いのは、おれの耳?
 今『オウジョサマ』とか言ったか、この×××。
 いやおれだって、信仰心のカケラもないくせにジーザスに助けを求めちまったけども。
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