王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。
「た…す、け……て、王女…さまっ」
「…………」
 ぐっと、おれのシャツの肘のあたりを握った手が、おれの膝をコンクリートの床につかせた。

 ごん!

 今度のクラッシュ音の出所はおれの膝。
「てめ、いてぇじ」「止…められない。わから…ない」
 あー、もう。だから
「なにがだよ? おまえ、わけわかんねえ」
 くたばってるくせに、この怪力。
 絶対おれの膝、すりむけたからな。
 この手を離せ、イカレAIのサイボーグ。
 王女だろうがジーザスだろうが、強制お祈りはノーサンキュー。
 おれをそんなものの名前でひざまづかせた罪は重いぞ、きさま。
 ――とはいえ。
「お…ね、がぃ――しま…」
「…………」
 町田はたぶん膝からくずれて、まともに床と激突したんだろう。
 デコから血ィ出てるし。
「本当に、お…れには、なにも…できないん…です」
 泣いてるし。
「でも、加藤さんが、なんとかして…くれるって。王女…さまが、教えてくれてます。本当です」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 鳥肌軍団、全身侵略完了。
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