王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。

3『くそ男、ばか女』

「すごい! おれも、こんなに見えたのは初めてなんです。色のほかにも、なんかボンヤリ見えることがあるんだけど――。すごい、加藤さん、すごい。そっか。そうなんだ」

 * * *

3『Her name is 王女さま』

 乙女ちっくに胸の前で両手をもまれても――。
「あのな、町……」
「おれ、王女さまに大丈夫だって笑ってもらいました。加藤さんといれば大丈夫だって。加藤さんも、見てました? ――あ、それとも聞こえてました?」
 いや、見えねえし、聞こえねえし。
「おれ、知ってるやつなんて今回が初めてで。おれ、どうしていいか、わかんなくて。そしたら王女さまが――あ、加藤さんがいて。大丈夫、大丈夫って……。そしたら加藤さんが金色になって。金色の加藤さんといたら、おれいつもみたいに吐いたりしなくて、あの、すみません!」
「…………」
 おまえそれ、文法めちゃくちゃだし。
 …ってか、おれ、イヤホン出すのを忘れてやがります。
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