吐息



チラリと彼を見る。

彼は私に興味ないとばかりに、スタホをタップしている。

私は、遠慮がちにバッグに一万円を仕舞った。

「んー、今日の予約は……もうなしか。どーする? 帰ってもいいけど」

「え、でも……予約ない日は、お店に戻って客引きするか、練習しなくちゃダメって……」


ーー練習。

それは、デリヘル嬢としての技術を上げるために、真咲さんやお店の男性従業員とする事。

相手に喜んでもらえるように、どうすれば相手が気持ち良くなるのか教えてもらう。

この1ヶ月、ずっとそうだった。

予約がない日も、出勤日はずっと誰かと肌を触れ合わせた。

今日もそうだと思っていた。


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