吐息
数刻前、アリアさんが突然現れた。
「あたし、ずっと前から貴女と話したかったの」
そう言って半端強引に私を連れ出した。
彼女が連れて行ったのは、行きつけだと言うバー。
そこには、マスターがひとりいるだけだった。
「華さん、素敵な時間に乾杯」
「は、はい」
私は自分のグラスを、アリアさんのグラスと重ね合わせると口につけた。
甘くて濃いお酒の味が広がる。
アリアさんがすすめてくれたカクテルは、思ったより濃かった。
……ちょっと苦味があって、大人の味。
でも、おいしい……。