Fw: R-17〜もう一度、人生をやり直したいですか?〜
ベッドに腰掛けてスマホのロックを外す。
見た事もないメールアドレスからの、しかも転送メールが届いている。
不審に思ったけれど、夫からのメールではない事に変に落胆している自分が嫌で、半ばやけ気味にメールを開封していた。
【件名:Fw:R-17】
『もう一度、人生をやり直したいですか?』
「……は?」
思わず声が出ていた。
けれどすぐに、迷惑メールか、とスマホをベッドへと放り投げた。
……バカバカしい。
何がバカバカしいって、メールを開くその瞬間まで夫からのメールではないかとどこかで期待していた自分が惨め過ぎてバカバカしいのだ。
ホテルの白い天井を見つめていると、グニャリと歪んで見えた。それが自分の涙の膜の所為だと気付いたのは、目尻から伝って耳へと涙が溢れてからだった。
……きっと、今までの夫婦仲が良好な夫婦だったら、こんなものでは済まないはずだ。
だから今の私はまだマシだ。マシなはず……なのに。どうしてだろう。……涙が止まらない。
───戻れるものなら。過去をやり直せるのならば、もう一度やり直したい。
右腕で目元を覆って無理にでも暗闇を作る。
何もかも、忘れて眠ってしまいたかった。
暗闇の中、不意に先程のメールの文が脳裏を過ぎった。