【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―

「⋯⋯随分と大胆な夜の誘いだな。抱いてほしいなら素直に言えばいいだろう⋯⋯」

「⋯⋯そんな雰囲気じゃないことくらいわかるでしょう」


ここまで身体を張っても、ルイナードから武装を取り払うことができないのが、悔しくて仕方ない。


結局、彼は私を諦めさせたくて、話を振っただけだったんだ。


彼の乱れたバスローブからは、胸に刻まれた大きな傷痕が顔を出していた。


「あなたは、何かを隠してる」


言い切ると、彼がほんの少し息を飲むのが伝わる。


「⋯⋯それは、お前の希望からかもしれないぞ?」

「それでもいい。何も知らずに、ルイナードのことを憎んでいるくらいなら、勘違いして、こんな突拍子もないことをしていた方がマシよ」

「お前⋯⋯」


早口に断言すると、今度はルイナードの切れ長の瞳が見開かれる。


「でも、私は臆病だから、何も聞かないままあなたを信じることができない。今まであなたのことを心底憎んできた私が、都合いいこと言っているのもわかってる。それでも、この城に来てからの、ルイナードの優しさが嘘だとは思いたくない。あなたの口から、あの日起こった出来事を教えてほしい」


私は、ガウンの裾をするすると太ももの上までたくし上げた――そして、銀色に鈍く輝くそれを、彼の反応を伺うようにチラつかせる。


「――まだそんな危ないものを持っていたのか」

「そうよ。――でもね」

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