【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―
優しい物言いと相反して、彼の言葉は私の心をズタズタに引き裂く。
心が、脳が、その言葉を受け入れるのを拒み。息の仕方を忘れてしまいそうだ。
けれども、その一方で、私は気づいてしまった。
「なら――なんであなたは、そんなに、泣きそう顔をしているの⋯⋯?」
咄嗟に両手を伸ばして、ぐっと彼の頬を包み込む。
その美しい面立ちには、今にも消えてしまいそうな。淋しげな笑みが乗せられていた。
私はこの笑みを前にも見ている。
『⋯⋯昔、大きな罪を犯しましたから』
仮面舞踏会の夜に目にしたものだ。
「そんなわけないだろう。見間違いだ」
――そう言って、手は素っ気なく解かれ、彼は立ち上がろうとする。
しかし、私は見逃さなかった。彼の長い睫毛の下で、黄金色が黒く塗りつぶされていく様を。
「――嘘つき!」
まさに、衝動的だった。
私は、横を通り過ぎようとしたルイナードの身体を、両腕で力いっぱい背後のベッドへと押し飛ばす。
スプリングの上で弾む、ルイナードの身体を、ベッドに押し付けるようにして、その上に素早く跨った。
絶対嘘だ。本当に仇だと思うなら、そんな顔するはずない!
興奮のあまり、はぁ、はぁと息が切れる。
しかし、彼は、驚くことも動くこともせず、息を荒げる私を穏やかな面差しで見守っている。