【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―
「もう、ふたりとも。いつもそうやってからかうんだから」
「冗談。アイリスはいつだって綺麗だよ。どこかに連れてっちゃおうかな」
「ジョーダンに聞こえないジョーダンは、陛下に怒られるって! マーシー」
「ははっ、このくらいは許してもらわないとね! なにせ、今日は最高の日なんだから。無事、ふたりが通じ合ったようで良かった」
ふたりからの感慨深そうな視線を受け止める。
今日までこれたのは、みんなのおかげ。私たちだけの力では到底無理だった。
案内を終えたカルム団長は姿はすでになく。しばし会話を重ねたマーシーも「楽しみにしてる」とウインクを残し、先にホールの参列席へと戻っていく。
いよいよ、式典がはじまるんだ。
扉の向こう側に、大勢の官僚や、帝国内の王族が待っていると思うと身がすくみそうだ。
でも、その最端でルイナードは待ってくれている。
ガチガチに意気込んでいると、
「さぁ、アイリス」
兄さんの声に反応して、ドレスをつまんで向き合うと。手にしていた箱から、ヴェールのついたティアラを慎重に取り出した。
ゴールドの花モチーフに、散りばめられたダイアモンド。その下からは裾に刺繍の入ったミディアムヴェールが伸びている。
ドレスと共にルイナードが用意してくれたものだ。
ティアラを手にした兄さんは、ぎこちなく頬を上げて私と向かい合う。
近くにいた近侍が、空き箱を回収し去っていった。