【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―
ルイナードの怪我した一件から、カルム団長は私への態度を一転させた。クロードさん曰く『陛下を信じていたお姿に、胸を打たれたようです』なんて言っていたけれども、以前のように気軽に話せないのは、少しばかり寂しい。
そんなカルム団長のエスコートのもと、私は長いドレスを引きずってホールへのエントランスへ向かった。
本来であれば、皇族の御用達であるヴァルフィエ国内の寺院での挙式の後に、このホールで式典を挙げるのが皇帝一族の式典のならわしのようだ。けれども、今回は出産間近というのもあり、一連のイベントをここで済ませる手筈となっている。
エントランスに踏み込んだ瞬間、あまりの眩さに目がチカチカした。
いつも荘厳なエントランスは、さらに輝かしいインテリアやフラワーコーディネートに満ち溢れた婚儀仕様となっていた。
目をすぼめながら視線をあげると、身長よりも二倍以上大きな両開きの扉の前で、柔和な顔で手を振る二人組の影がすぐ目に入る。
より綺羅びやかに変身したこの空間でも、見劣りしない二人組――
「兄さん、マーシー」
見慣れた軍服に上品な小箱を抱えた兄さんと、グリーンを基調とした正装をした、華やかなマーシーの姿。
カルム団長から離れて早足で近寄ると、ニッコリして出迎えてくれた。
「おお! アイリス⋯⋯今日ばかりはお姫様に見えるな」
「レイニー、アイリスはいつでも可愛いよ。ちょっと食いしん坊なだけでね」
式典の、準備もあって、合うのはひさしぶりだというのに、軽口は相変わらずのようだ。