秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「三人で一緒に撮ってもらいませんか?」

 ぽつりと発した私は、「えっ?」と驚異の目を見張る相良さんからカメラを取り返し、近くにいた家族連れの女性に声をかけて写真を撮ってくれるようお願いした。

「恵麻。皆で写真撮ろう」

「とりたい!」

 キリンを見ていた恵麻を抱き上げ、唖然とした顔つきで私の動向を眺めていた相良さんの手を引き寄せる。女性の「いきますよ。はい、チーズ」という掛け声に、恵麻は満面の笑みで両手にピースサインを作っていた。

 私は撮影してくれた女性にお礼を言い、カメラを受け取る。女性の家族が離れていき、三人だけの空間に戻った途端、私は気恥ずかしさに目を伏せた。

「ママ、つぎはぞうさんみにいこう」

 恵麻が、私の腕から下りようと身体を捩りつつ足をバタつかせる。私がゆっくりと下に下ろすと、恵麻は腕を大きく振って歩き出した。

 そのすぐうしろを、私と相良さんも追う。相良さんはなにも言わない。なんとなく気まずくて、いつもより周囲の音が大きく聞こえる気がした。
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