秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「これは俺に任せて、君も見ておいで」

 彼はそう言いながら、顔の前でカメラを揺らす。

「でも……」

「せっかく来てるんだから」

 そう言われ私は、柵の前ギリギリに立ち、未だキリンから目を離さない恵麻に視線を移した。

 そういえば、いつもどこかに出かけるにしても恵麻とふたりだったから、恵麻と私が一緒に写っている写真って数えられるほどしかないかもしれない。

 ……相良さんは、それがわかっていたのかな。

 そんな思いを巡らせていた私が相良さんのほうへ顔を戻すと、カメラをかまえていた彼がファインダー越しに私を捉えた瞬間シャッターを押した。

 カメラを顔から離した相良さんは、歯を覗かせていたずらっぽく笑う。私の心の中に陽だまりのような愛おしさがあふれた。
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