秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 すっかり私の中で定番になったカフェオレの香りに、嬉しさから反射的に微笑む。湯気が立ち上るそれに何度か息を吹きかけてから口をつけた。

 甘い。

 ほっとして眉と眉の間が解ける。

 同じコーヒーメーカーを使っているのに、大和さんが淹れてくれたカフェオレのほうがいつもおいしく感じた。

「とても楽しかったですよ。またお会いしたいです」

 私は、 ダイニングチェアに置いたバッグから大切に仕舞った折り紙の花束を取り出した。

「本当に、すごく幸せです」

 私の声は、感情の波に揺れる。美しく両方の口角を上げる大和さんが、私の手からカップと折り紙の花束を取り上げた。

 それを大事にダイニングテーブルの上に置いた大和さんは、私を抱き寄せる。突然のことに狼狽する私を見かねてか、耳もとで「幸せそうな君を見ていたら抱きしめたくなった」とささやかれた。
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