秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
『先日のパーティーにて大和様とご一緒されているのを拝見し、失礼ながら調べさせていただきました。いささか〝想定外〟のこともございましたので、本日はお伺いを。お話を聞いていただけますね?』

 その言いように、すべてを知られているのだと察した。きっと誤魔化しなど通用しないだろうと、私はアパートを出て、男性と近くにあった喫茶店に入った。

 着席してまもなく分厚い封筒を差し出された。

『これは……』

『お好きに使っていただいてかまいません』

 中身は聞かなくてもわかった。

『相良さんはこのことをご存じなんですか?』

『大和様は関係ございません。グループのためにならないと判断した私の独断です』

 神田さんの答えにひどくほっとしたのを覚えている。

 たとえ遊ばれたのだとしても、私には相良さんがお金で物事を解決するような人だとはどうしても思えなかったからだ。

『これで事実はどうであれ、私たちと相良さんとはいっさい関係ないと?』

 私の問いかけに、神田さんは迷いも見せずに『えぇ』と返す。
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