秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
『ここに相良さんと私の子供がいる』

 この子にも自分と同じ思いをさせてしまう。罪悪感に胸が痛んだけれど、それ以上に私はこの子が私のもとにきてくれた奇跡に感謝して、どうしても会いたかった。

 この子は私がひとりで生んで育てる。

 あの人が訪ねてきたのは、私がそう覚悟を決めて数日が経った頃だった。

 黒のスーツを身に纏う男性は、『相和(あいわ)グループ社長秘書を務めさせていただいております、神田(かんだ)と申します』と名乗っていた。

 髪一本乱れていない完璧なオールバック。銀縁の眼鏡の奥からこちらを射抜くような鋭い眼差しが覗く、クールな印象の男性だった。

 そんな神田さんからインターホン越しにある真実を聞かされた私は、息が詰まるほど驚いた。

『相良さんが、相和グループの後継者……?』

 この国で相和グループの名を知らない人はほとんどいないだろう。自動車工業や電機メーカー、不動産に製薬会社まで、国内を代表する大企業が属す日本でも指折りの企業グループだ。

 相良さんが相和グループの……。

 困惑する私に、神田さんは言葉を続けた。
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