秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 小さな受付と下駄箱がある保育所の玄関口は、子供たちの作った可愛らしい作品や、先生御手製の掲示物で溢れている。

 壁一枚を隔てて子供たちのにぎやかな声も耳に届いていた。

 ぐちゃぐちゃに散らかった頭で、現実から逃げるように無理やり思考する。

 今日の晩御飯はなににしよう。恵麻はなにがいいって言うかな。

 しかし、うまく考えられなかった。

 私は唇を噛みしめ、両手を強く握る。

 先ほどの女性の笑顔が脳裏にこびりついたように消えなくて、泣きたくなった。
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