秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 私は思わず顔を上げる。すると、相良さんは一瞬なにかを考えているような表情を浮かべてから、ふーっと長い息を吐いた。

「なにか勘違いされているみたいだな。とにかく話そう。外は寒いから、乗って」

 そう言った相良さんは、私が背負っていたリュックを奪い、それをさっさと自分の車のトランクに載せる。

「ちょっ……」

 狼狽える私のことなどおかまいなしに、彼は私の背中を押して車の後部座席に乗せた。トランクから出してきたのだろうか。後部座席の右側の座席に手慣れた様子でチャイルドシートをセットした相良さんは、「はい。どうぞ」と恵麻を座らせ、シートベルトをする。

 これ、あの男の子のだよね。

 家族を思わせるそれに、私は胸がズキッと痛む。

 この人がなにを考えているのかわからなかった。

 自身も運転席に乗り込んだ相良さんは、シートベルトをすると静かに車を走らせる。
< 46 / 213 >

この作品をシェア

pagetop