秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 どうしよう。再会してからの相良さんはとても強引だ。まさかこんなことになるなんて。

 昨日から驚きの連続で、思考も身体も疲れ切っていた。

 窓の外の明かりが次々に流れていくのを尻目に、私は隣にいる恵麻のほうへ顔を向ける。

「ママ、すごいくるまだね。テレビでみるやつみたい」

 今日までタクシーすらほとんど乗った経験がなかった恵麻は、初めて間近に見る高級車にはしゃいでいた。

 たしかによく見ると、シートも革張りなのかな。革製品特有の香ばしい香りに鼻腔をくすぐられる。

 今度は運転している相良さんに視線を移した。斜めうしろから、まっすぐ前を見据え運転する、彼の鼻筋の通った美しい横顔が覗く。

 相良さんから離れようとするのに離れられない。なにより今でも彼を見ているだけでどうしようもなく心が震えた。

 四年前、これ以上ない覚悟を決めて踏ん張ってきたのに……。お願いだから惑わさないでほしい。
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