秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 今までは土曜も仕事で、シフトの都合で夜が遅くなったり、日曜も出ないといけなくなったりと、保育所のほかにも一時的に子供を預かってくれる託児所などへ頼らなければいけないときも度々あった。

 恵麻には本当に寂しい思いをさせてきたと思う。私も同じ境遇で育ったため、恵麻の気持ちは痛いほどにわかった。

 それでも入院費と生活に必要な支払いを済ませるとお金はほとんど残らなくて、恵麻には贅沢などほとんどさせてあげられていない。まだ三歳だというのにわがままだって滅多に言わないし、聞き分けだって良いほうだ。

 もしかすると私の様子から、こんな小さな子にも気を遣わせているのではないかと思うと時々申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 それなのでネットで偶然求人情報を見て面接を受けた『ポピーウィズ株式会社』から合格の連絡をもらったときは飛び上がって喜んだ。

 面接を受けたときも、面接を担当していた男性社員が、『子供用品を扱う企業こそ、子育てされている方を積極的に応援していかなければならないと思っています。それにリアルタイムでお子様と向き合われている人たちの意見はとても貴重。子供優先はあたり前。みんなサポートしてくれるので一緒に頑張りましょう』と言ってくれた。
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