秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 好条件で環境も充実していて今までの職場より給与も良い。頑張って余裕ができたら恵麻のためになにかしてあげたいな。

 意気込み十分な私は、繋いでいた手に力を込める。反応したように恵麻が顔を上げた。

「ママもあたらしいおしごとたのしみ?」

「うん。楽しみ。一緒に頑張ろうね」

 私が言うと、恵麻は「おーっ」と右手で作ったこぶしを空に向かい突き上げる。私も続いて右手を上げ、ふたりでころころと笑った。

 この笑顔を見たら頑張れる。

 結局、行きの電車で二十分揺られているうちにうとうとしてしまった恵麻を抱きかかえ、私は多くのオフィスビルが建ち並ぶオフィス街を歩いた。
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