秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「お邪魔します……」

 リビングの真ん中に鎮座するダークグレーの大きなカウチソファーに座らされた私は、遠慮がちにつぶやく。室内には暖房が効いていて、冷え切った身体にじわじわと沁みた。

 床も温かい。

 つい安堵のため息をつき、はっと状況を思い返した。

 とりあえず、敷かれていた高級そうな毛足の長いカーペットを汚してはいけないと、慌てて相良さんが足もとに置いてくれたスリッパを履く。

「そこにゲストルームがあるから先に恵麻ちゃんを寝かせてあげよう」

「ここで抱いているので大丈夫です」

「ふたりとも疲れるよ。いいからこっち」

 相良さんは一段と柔らかい口調で言う。

 私は頭を悩ませた。様々な考えが駆け巡ったけれど、きっと相良さんは私がこれ以上大丈夫と言っても聞き入れてくれないだろう。

 だからといって甘えていいわけじゃないが、私は彼が話をしたいと言っていたのを思い出し、その間だけでもお言葉に甘えることにした。

 ……どんな内容なのかわからないもんね。
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