秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 相良さんが案内してくれた、リビングの右手にあったゲストルームには、シーツがピンと張ったベッドがドアと平行にふたつ並んでいた。私はその手前側のベッドに恵麻を寝かせる。

 いろいろあってさすがに疲れたのだろう。深く眠っているのか、小さく血色のいいピンクの唇は半開きになっていた。その可愛らしい寝顔に思わず小さく笑みが漏れる。

 ふと顔を上げると、相良さんと視線がぶつかった。私は眉尻を下げて言う。

「ありがとうございます」

「俺はなにもしてないよ」

 そう言いつつも、彼は「もし途中で目が覚めて怖がると可哀そうだから」とオレンジの明かりを点けておいてくれた。

 優しく、気遣いができるところも変わっていない。

 あの夜の記憶の断片が頭の片隅に蘇り、胸がちくりと刺されるように痛んだ。
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