秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「明日からは本当に私に作らせてください。相良さんのお口に合うかはわからないんですけど……」

 私が言うと、さらにスーツのジャケットを脱いでネクタイを緩める彼が、困ったように苦笑する。

「今日はごめん。俺もふたりがきてつい浮かれたんだ。でも、とても楽しかった。明日から君の料理を食べられるのも楽しみにしてる」

 いっそう和んだ眼差しを向けられ、私はなにも言えなくなった。

「そうだ。ケーキも食べないと」

 相良さんが、ダイニングテーブルの上に置いた白いケーキ箱に一瞥をくれる。すると、先にリビングにいた恵麻がはっとした様子で「ケーキ!」と戻ってきた。

 和風フレンチのお店の隣が洋菓子店で、相良さんが買ってくれたものだ。

 フレンチのお店を出て、『ケーキでも買って帰ろうか』と洋菓子店に入ろうとする相良さんを止めたけれど、聞き入れもらえなかった。
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