初恋交響楽
Chapter1*再会は結婚の始まり
西尾芽郁(ニシオメイ)、25歳。

実家がピンチになったので、どこかの会社や企業の偉い人と政略結婚をする…と言う話は、小説やマンガやドラマで約数年前から流行っている展開だ。

そのことに関しては別にいい。

愛のない結婚をすることに関しては、特に何も文句は言いません。

100歩…いや、億、兆、京…もう少し言うならば、恒河沙、阿僧祇、那由他と大きな単位を言って譲っても文句は言いません。

例え結婚相手が会ったことのない人でも、親子ほど年齢の離れた人でも、文句は言いません。

だけども、こればっかりはわたしも文句が言いたくて仕方がないです。

「久しぶりだね、中学校の卒業式以来だよね?」

わたしの目の前に座っているグレーのスーツ姿の男の笑顔は昔と変わっていないな…と、思った。
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