八木澤くんは不器用に想う









歩くこと数分。



家の前まで来て、ピタリと足を止めた。




「家、ここだよ」



「ふーん…(意外と近い)」



「あの…」



「なんだよ」



「送ってくれてありがとう。
それと、アイスも買ってくれてありがとう」



「……あ、べ、別に!
男ならそんくらい普通だから!」




お礼を言ったら、八木澤くんはブンッて音が聞こえそうなくらい、すごい勢いで顔を逸らした。




八木澤くんって、ちょいちょい失礼だよね。



そんな勢いよく顔逸さなくてもいいのに。




「……早く中入れば」



「うん。
八木澤くんも、気をつけて帰ってね」




玄関のドアを開けて家に入った後



完全にドアを閉めきる前に隙間から顔を覗かせて、


八木澤くんに小さく手を振ってからドアをパタンと閉めた。




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