八木澤くんは不器用に想う
「ただいま」
リビングのドアを開けると、
中にいたお父さんが、いきなりギュウッと抱きしめてきた。
「おかえり初〜!
いつもより遅くて心配したんだよ〜!!」
「友達とアイス食べに行ってて」
「連絡しないから、何かあったんじゃないかと思ったぁー!」
私を抱きしめたままのお父さんが、私の髪を乱しながら頭をぐわんぐわん撫でる。
……あーほら、面倒くさい。
うちのお父さんは過保護だ。
6時前に仕事から帰ってくるから、私が先に家にいないとすっごく心配される。
高校生で門限6時って。全然遊べない。