八木澤くんは不器用に想う
「あの、すごく顔を近付けられたけど、
キスしてないよ」
「……そっか。よかった」
「よかったって…」
「……嫌だろ、普通に。
好きな子と他の男がキスしてるとか」
好きな…子…。
八木澤くん…入試の時から私のこと好きでいてくれたんだよね。
……ん?
そういえば私、消しゴムに、『好き』なんて書いてたっけ…?
「あの〜…八木澤くん」
「ん?」
「私、消しゴムに好きって書いた覚えはないんだけど…」
「書いてあったよ。
“安木”の“すき”がな」
「……??」
なにを言ってるの?と首を傾げたら、
お前バカ?と言いたげな目で見下ろされた。