素直になりたい。
私が顔を背けると、櫻庭が手をほどいた。

ビックリして反射的に彼を見る。

何その目...。

キラキラしてて眩しい。

どんな宝石よりも

何倍も

何十倍も

何百倍も

綺麗じゃん...。


「俺に復讐に来たんじゃないの?」

「そ、それは、まぁ。でも、やる気を失ったというか、なんというか...」


こんな目に捕らえられたら呂律が回らなくなる。

不思議と頭が働かなくなり、

体が硬直する。

こんな感覚は今に始まったことではない。

あの時も。

あの日も。

今までだって何回も

何十回もあったはずなのに。

どうして慣れないんだろう。


「それってさ、やっぱり俺のことを追っかけて来たってことじゃないの?」

「ち、違う。復讐しに来たのと追っかけて来たのは違う。その行動に伴う感情が違う。うん...そう、違うの。

私は櫻庭に豚の名前を"なおか"にされたりとか、"ハム"って呼ばれたりとか、そういうのが嫌で、絶対痩せて可愛くなって見返してやろうって思って、それでここに来た。

櫻庭のことが大嫌いだからここに来たの」

「で?復讐しないわけ?わざわざ高い金だしてここに通ってるのに、俺になんもしないわけ?」

「そ、それは...」


< 19 / 372 >

この作品をシェア

pagetop