素直になりたい。
一気に熱が冷めたのか、櫻庭はそれだけ言うとしゃがみこみ、何やらガサゴソ音を立て始めた。


「何してるの?」

「はい。ハムの好きなやつ」

「は?」


暗くて良く見えないけど、形状で察しがつく。


「揚げパン...」

「そう。ハムの大好物のココア揚げパンだ」

「でもそれは昔の話で、今は食べないんだけど。油取るとそれこそ豚になるし」

「でもさ、いいじゃん、1回くらい。そんなんで太らないよ」

「また私を太らせたいの?太ってバカにしてそれで...」

「そんなくだらないことしてる時間俺にはない。そんな時間があるなら、別のことに使う」


くだらない時間、か...。

確かに、だな。

くだらないんだよね。

他人と自分を比べて、

それで負の感情が沸き起こると

他人を蔑んだり、

他人を恨んだり、

それで他人をいじめたり...。

それはきっと人生においてくだらないこと。

必要ないことなんだ。

私もそんな風に思えてたら

こんなところにいないんだろうな...。

なんてバカだったんだろう。

なんて浅はかだったんだろう。

なんて幼稚だったんだろう。

私、すっごくすっごくカッコ悪い。

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