素直になりたい。
「良い写真、いっぱい撮れたね」

「ほんとほんと、大満足。これで心おきなく大学にいける」


他愛ない話をしながら階段を昇り、また教室の方に帰ってきた。

すると、今度は、E組の前に別の人集りが出来ていた。


「えっ?あれって...」

「日下さん、みたいね...」


人集りの中心にいらっしゃる美少女。

すらりと背が高く、顔はコンパクトに整っている。

いつ見ても、こんな子に誰が敵うだろうと思う。

いや、敵うわけがない。

今でもまだ敵う気がしない。


「あっ」


日下さんが人混みを掻き分け、こちらに近付いてくる。

それに伴い、ファンの子たち20人くらいも大移動。

これだけの影響力がある人が私の最後で最強のライバルなんて、私もつくづく運がない。

そんなことを考えていたら、急に心臓がバクバク激しく鳴り出した。

収まれと願っているうちに、彼女が到着してしまう。


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