素直になりたい。
温もりが離れて

少し寂しくなって

全身に巡る熱に戸惑って

頭がぽわんとしてくる。

正直、くらくらでふらふらで

これが夢か現実か区別が出来ないけれど、

私は現実だと信じて、

目の前の光に

手を伸ばしてみる。


「櫻庭」

「何?」


今なら、言える。

言える。

言えるよ。

私はそこら辺の空気を目一杯吸い込んだ。

そして、放った。


「好き。櫻庭のことが...大好き」


櫻庭の腕が背中に回る。

もっと強く

もっともっと強く

もっともっともっと強く

抱き締めて。

やっと繋がれた糸が

絆が

ほどけないように。

もう2度と離れないように。

これからもずっと2人で

自分達らしい道を

一緒に歩んでいけるように。
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