素直になりたい。
私はリビングに通された。

私は春休みだけど、父は普通に働いているからまだ会社だ。

そして、祖母はおやつを食べる前に散歩をするのが日課らしく、15時だというのにまだ帰ってきていない。

ということで、気まずいけど、母と2人きりだ。


「はい。直禾これ好きだったでしょう?」

「あ、ありがとう」


そう言って出してくれたのは、私がダイエットに励んでいた頃良く飲んでいた野菜ジュースだった。


「まだ買ってるんだ」

「だって、おばあちゃんが気に入っちゃったから。いつも安い時にまとめ買いしてる」

「へぇ」


ストローを刺し、見事な吸収力で吸い上げた。


「ふふ。久しぶりだけど、美味しい」

「そう。なら、良かったわね」


そこから会話が途切れた。

沈黙が流れる。

私が吸い上げて離す時の、シュポって音が繰り返される。

何か話さなきゃ。

ってか、話すために来たんだし、

向き合わなきゃ、だな。

私は半分くらい飲んだところで、一旦紙パックを置き、リュックに手を伸ばした。

チャックを開け、中からあるものを取り出した。

青い重厚なカバーに綺桜のマークが入っているそれを、私は母に手渡した。


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