i -アイ-
「まあ、そんな話はいいか。俺に構う暇は無いらしいが、構った方が何かといいと思うぜ?」
首を傾げる幹城。
「どういうことだ」
三國さんが、淡々と聞く。
「久遠藍人を病院に連れていったのは、誰だったかな」
……嘘だろ。
「誰だ、蓮」
あの教師は
「……槙野祥です」
黒だったのか。
俺のせいだ。
「じゃあREIGNの皆さん、お乗り下さい?」
楽しそうに笑う幹城。
俺らが車に乗り込めば、幹城がどこかへ連絡をする。
「これから送る。あとは好きにしろ」
通話を切った。
さっきの声とは違うつまらなそうな声。
「幹城さん」
優介さんが声を発する。
「んー?」
その声は楽しそうで。
「久遠藍人に、負けたんですよね?」
煽るのが目的ではなさそう。
「思い出したくもないが、そうだなぁ」
サラッと負けを認める幹城。
「俺らが暴れるとかは、考えてなかったんです?」
これが本当に聞きたかったことだな。
「考えてないね。だって、榊の坊ちゃんと橘の坊ちゃんが1番あいつを手放したくないだろうからな。大人しく着いてきてくれると思ってたよ?」