i -アイ-
三國さんと暁さんが目を合わせる。
まるで、
「ま、心配するなよ。俺以外の人間は暴れんじゃねえかって思ってただろうからな」
藍人が、御庄藍だと知っているかのよう。
いや、そんなことがあるのか?
……否定はできない。
「ああ、これ以上言うと、あいつに怒られちまうな」
……あいつって、誰なんだよ。
藍人じゃないのか。
着いたのは廃れたビル。
「ここの三階。階段しかねえから気をつけろよ?……あいつみたいに落とされねえように」
一瞬。一瞬だけだが、
「お前の指示じゃないのか」
言葉の中に怒りが見えた気がした。
俺は思ったままに声にした。
幹城は俺を見て、ふはっと笑った。
「さあな」
そう言って俺らがビルに入るのを見送った。
階段を上がっていけば、笑い声や叫び声が入り交じる。
けれど、2階から3階までの階段は打って変わって静寂。
先頭を暁さん。1番後ろは三國さん。
3階に着いて扉を開けば、3人、男がいた。
きっと、藍人なら全員分かるんだろうが。
「やっと来たか」
真ん中でソファに胡座をかいている男は、前髪をアップバンクにした赤髪。
こちらを見ずに斜め下を見てる。