i -アイ-
「馬鹿にしてんのか」
「してないよ」
蓮を見て、柔らかく笑ってから、滝谷の後を追って教室に戻ろうとする。
「なあ」
蓮に、呼び止められたけど。
「三國さんと暁さんに、お前と関わってもいいって言われた」
……三國は、そう判断したんだね。
「そっか。……蓮はどう思ってる?俺の事」
「俺は、まだ分かんねえことが多すぎる。お前も何考えてるか分かんねえし」
真っ直ぐで、優しい。
そして、弱い。
「でも、お前は、その、」
「俺の事好き?」
「は?」
間抜けな顔をあたしに向ける蓮。
「あはは、本当に真面目だね蓮は。」
「やっぱてめえ馬鹿にしてんな?」
ぎゃあぎゃあと騒いで教室に入れば、クラスメイトたちがザワつく。
「はーあ、笑った」
騒ぐ蓮を抱き締めれば、何が起きたのか分からず固まる蓮。
「今日から、友達ね、俺ら。」
そう蓮にしか聞こえない声でいい、蓮から離れる。
蓮はバッと耳を覆って、パニクってる。
「よろしく、蓮」
どうしたもんかなぁ。
失くしたくないものばっかり増えてくな。