【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ
だがディルセオン家が公爵家であることに変わりはなく、どんなに家が国境を守る重大な責任を負う家であったとしても、公爵家と力は侯爵家と同等と言えどその二つにだって隔たりはあった。ましてや相手は王族と近しい公爵家。縁談を断れるはずもない。
そういった事情でシルウィンの父は落胆し、突然の王命による娘の結婚を喜べず終始喪に服したような顔をして、どんなにシルウィンが喜びを伝えても、とうとうシルウィンの乗った馬車が発つまでその顔色を変えることはなかった。一方のシルウィンは、馬車に揺られながら王都の景色を見て、どんどん心を弾ませていく。
(完全に神は私に味方しているのね。だから今まで良縁が結べなかったんだわ。これは運命なのよ)
馬車に揺られ、王都の景色を見ながらシルウィンは一人勝ち誇った笑みを浮かべる。馬車は公爵家のもので、リグウォンから使用人を連れてくることは許されなかった。シルウィンの父が受け取った王家からの手紙のほかにはディルセオンからも手紙が来ており、王命で突然決まった婚約ということでシルウィンにはすぐさま公爵家に向かい、来る三か月後の婚礼の儀までに花嫁修業をさせたいとの旨が記されていた。