【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ

 人が仮面をつけるタイミング。つけていた状況。時間。その時の会話。それまでの前後の会話。シルウィンはあらゆる記録をつけた。そうして彼女が仮説として導き出したのは、人は仮面をつけるとき、嘘を吐いているということだった。

 そして仮面が消えるのは、嘘が暴かれたか、無くなったと本人が思ったとき。そして誰がどういう基準で決めているか彼女は分からなかったが、その度合い……嘘に対する暴かれたくない気持ちや、自分が偽りをもった人間だと思っているかで、顔に対する仮面の占有率が変わるのだろうと、シルウィンは考えた。

 そして彼女はある実験をした。シルウィンは姉が自分の残したクッキーを隠れて食べてしまう状況をあえて作り出し、全て食べさせた後に現れ、姉にクッキーを食べていないかと尋ねたのだ。

 結果、姉は食べていないと嘘をつき、目元に仮面をつけた。そして姉に一部始終を見ていたことを伝えたのだ。姉はシルウィンに嘘がバレるとすぐに認め、仮面は消えた。そして彼女は確信した。

 自分は、嘘を見抜く力を持っているのだと。
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