真夜中のサイコパス
「どうした?

昨日とは雰囲気が違うな。

昨日はあんなにオレと話していたのに」


「う、うん。

そうだね」


「オレ、有島の印象が昨日で変わったよ。

これからはお互いに忘れ物には気をつけような」


拓実はそう言うと、爽やかな笑顔を見せて、私の席から去っていった。


私はそんな拓実の後ろ姿を見て、拓実のカッコ良さにときめいていた。


できるなら、浜中美澄の力を借りないで、拓実とたくさん話したい。


私はもっと拓実のことを知りたいし、私のことを拓実に知って欲しい。


私が拓実との会話の余韻に浸りながら、無意識に微笑んだとき、優子がそれを見逃さずに前傾姿勢で私の目をのぞき込んだ。


「ねぇ、咲良。

昨日、拓実君となにがあったの?

どうしてそんなに仲良くなったの?」


私は優子のその突っ込みに少しだけ戸惑っていた。


私が拓実と仲良くなれたのは、浜中美澄が私の体を乗っ取って、拓実と話をしたからだ。


私がなにかをしたわけじゃない。


里山高校の都市伝説がホンモノだからだ。
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