真夜中のサイコパス
「昨日の放課後、忘れ物をして教室に戻ったら拓実君がいたの。

それで私は拓実君と少し話して……」


「咲良が拓実君と?

拓実君を見ただけで、いつもドキドキしている咲良が?」


「そうだよ。

きっと五分くらい話していた。

そしたらなんだか仲良くなって……」


「ウソ! 信じられない!

あの片想いマックスで、いざとなると恋に内気なあの咲良が?」


「そんな言い方しないでよ。

私だってやるときはやるんだからね」


私はそう言って笑ったけど、優子の言葉はきっと正しい。


昨日の私は私じゃなかった。


私が関係を断ち切りたいと思っている浜中美澄が、皮肉にも私の恋を引き寄せたのだ。


そう思うと複雑な気持ちになってくる。


私は浜中美澄なんかに頼らないで、拓実との距離を縮めたい。
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