真夜中のサイコパス
「だけど、拓実君と仲が良いなんていいなぁ。

クラスで一番のイケメンだもんね」


「仲が良いっていうか、ちょっと話ができるようになっただけだよ」


「だからそれだよ。

ものすごい進歩じゃん!」


「そうかなぁ?」


「そうだよ。

もしかしたら、咲良がさ、あの木村菜々子のライバルになっちゃうかもよ」


「私が木村菜々子のライバルかぁ……」


私を少し煽るように話している優子の言葉を聞いて、私は思わず木村菜々子の名前をつぶやいていた。


あのアイドル顔負けの美少女、木村菜々子と私がライバルだなんて言ったら、きっとみんなは私のことを笑うだろう。


でも、私が拓実と付き合うためには、あの木村菜々子を押しのけて、私が拓実の一番にならなくてはいけないのだ。


それはとっても難しいことだけど、それができないなら、私の夢は叶わない。


もしも拓実の心の真ん中に私がいたら、どんなに素敵なことだろう。


やっぱり私はそんな夢をあきらめられない。


私は木村菜々子に勝ちたいのだ。
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